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2008年6月11日 (水)

セボシジョウカイ


 今日はこの辺りでは珍しいジョウカイボンの仲間、セボジジョウカイを紹介します。これも「三丁目緑地」に群生するシャクチリソバの葉上に居たものです。

 この虫、カミキリムシによく似ています。小さくて(体長12mm程度)よく見えないので、私も初めはカミキリかと思いました。

 ジョウカイボンの仲間(ジョウカイボン科:約140種)の虫は、何れもカミキリに似た形をしています。他にカミキリムシに似たグループとして、カミキリモドキがありますが、この科(カミキリモドキ科:約50種)に属す昆虫も全てカミキリに似た形をしています。カミキリムシに似ると何か利点があるのでしょうか?


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シャクチリソバの葉上を歩くセボシジョウカイ.体長約12mm

小さいので、初めはカミキリムシかと思った

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/05/19)



 しかし、カミキリに似てはいますが、ジョウカイボンは分類学的にはホタル上科に属し、一方、カミキリムシはハムシ上科ですから、かなり離れた間柄と言えます。

 食性も、カミキリムシの幼虫は鉄砲虫と呼ばれ、木に穴を空けて植物組織を食害するのに対し、ジョウカイボンは幼虫も成虫も基本的に捕食性です。見かけによらず「獰猛」なのです。

 ちなみに、カミキリモドキは漢方で使うツチハンミョウに近い仲間で、ゴミムシダマシ上科(ヒラタムシ上科異節群)に属します。これまた、何れとも離れたグループです。


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背面の斑紋は変化が大きく、消失する場合もある

(2008/05/19)



 しかし、外見がよく似ているので、ジョウカイボンやカミキリモドキをカミキリムシと間違える人がかなり居る様です。これらをカミキリから見分けるには、一々図鑑を引っ張り出さなくても、簡単な方法があります。一寸触ってみればよいのです。


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葉裏に逃げ込んだのを葉をひっくり返して撮影(2008/05/19)



 カミキリムシは鞘翅や外骨格が固いのに対し、ジョウカイボンやカミキリモドキは全体的に柔らかく、大袈裟に言えばフニャフニャです。違いは直ぐに分かります。しかし、カミキリモドキの中にはツチハンミョウと同じく、体液中にカンタリジンを含むものがあるので、直接は触らない方が良いかも知れません。

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セボシジョウカイの顔.口器が複雑(2008/05/19)



 ジョウカイボンの仲間は随分昔に成城でも見た様な気がしますが、このセボシジョウカイを見るのは初めてです。調べてみると、このセボシが出現するのは5~6月だけで、夏には見られない様です。

 このWeblogやもう一つの「我が家の庭の生き物たち」を始めてから気付いたことの一つに、子供の頃には見たことのない虫がかなり居ると言うことが挙げられます。それらの虫は、このセボシジョウカイの様に、何れも春から初夏にかけてだけ発生する種類です。子供の頃も春から捕虫網(今はカメラ)を振り回していたはずなのですが、或いは、夏休み中と較べて熱心さが些か足りなかったのかも知れません。


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