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2008年5月の4件の記事

2008年5月29日 (木)

ヒメマルカツオブシムシ

 先日、「三丁目緑地」に行って来ましたが、今日はその途中で見付けた甲虫を紹介します。
 ヒメマルカツオブシムシ、体長約2.5mmの肉眼では余りよく見えない程度に小さな虫です。

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ハルジオンの花に集るヒメマルカツオブシムシ.ヒメジオンと異なり
ハルジオンには桃色の花もある
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/19)

 肉眼でも一応斑模様に見えますが、拡大してみると黒、茶、白の3色を配置した中々粋な衣裳を纏っています。
 見付けたのは、成城学園前駅の直ぐ近く、昔の「大踏切(駅西側の踏切、今は無い)」を南に渡って右に曲がると角の駐車場の隣にある空き地です。ハルジオンの花にかなりの数集っていました。今の季節には、この虫はあちこちの主にキク科植物の花に見られる様です。
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上の写真の部分拡大.粋な図柄(2008/05/19)

 この虫、下の写真の様に花粉なんぞを食べていて、一見ハムシの仲間の様に見えますが、実はカツオブシムシ科に属す大害虫なのです。成虫は写真の様に花に集まって被害は全く有りませんが、その幼虫は、専ら毛や絹等の繊維製品、毛皮、干魚、剥製、昆虫の標本等の各種動物性乾燥品を食害します。
 私が若い頃に作った昆虫の標本も、北海道に移って管理の行き届かない約20年の間に、この幼虫に完全に食べられてしまいました。初めは胴体を食べますが、体の部分を食べ尽くすと今度は翅まで食べてしまい、最後はピンとラベルが残っているだけでした。
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横から見たヒメマルカツオブシムシ.花粉を食べている(2008/05/19)

 動物性乾燥品を食害する昆虫には、他にヒメカツオブシムシ、ハラジロカツオブシムシ等のカツオブシムシ類、ニセセマルヒョウホンムシ、ヒメヒョウホンムシなどのヒョウホンムシ類、主に衣類や敷物等の繊維製品を食害するイガ、コイガ等の一部のヒロズコガ類があります。また、普通は植物性乾燥品を食害するシバンムシ類も、時に動物性のものを食害します。
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正面から見たヒメマルカツオブシムシ.頭部前面に背中と
同じ様な模様がある(拡大して見て下さい)
(2008/05/19)

 我が家には多量のスライドと書籍があるので、その劣化を抑える為に湿度を50%以下、出来れば40%位に保つ様にしています。こうしておくと、防虫剤を置かなくても普通はこの手の害虫は発生しません。
 しかし、主に乾麺を食害するシバンムシだけは、若干発生します。一般に、こういう連中は絶食に強く、中には1年位食べなくても死なないものもあるそうです。恐らく、シバンムシの幼虫は雨が続いたりして湿度が高くなるときにのみ活動して少しずつ生育するのでしょう。
 花に留まる甲虫の話が、すっかり屋内害虫の話になってしまいました。

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2008年5月27日 (火)

クロクシコメツキ?

 今日はコメツキムシの仲間を紹介します。このWeblogでコメツキムシは初登場です。
 甲虫類には外見の似た種類が多く、種の判別に苦労することが多いのですが、今日のコメツキムシも特徴的な形態や斑紋を持っていないので、種の判別には苦労させられました。
 多分、クロクシコメツキだと思います。しかし、自信はありません。何しろ、コメツキムシ科は世界で10,000種、日本でも約600種は居るというのですから・・・。

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ヒメジオンに居たコメツキムシ
多分クロクシコメツキと思うが自信はない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/16)

 写真は「四丁目緑地」に生えているヒメジオンにいた個体です。「四丁目緑地」では同じ様なコメツキムシを何度も見ましたが、多分皆同じ種類だと思います。全体としては、かなりの数居るでしょう。
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ストロボの光に驚いてヒメジオンを上下するコメツキムシ(2008/05/16)

 コメツキムシ類の幼虫は、腐朽した樹の樹皮や木部、或いは、腐植土中に棲んで、穿孔虫やコガネムシ類の幼虫などを食べるものが多いそうです。甲虫の中では、珍しく「益虫」に属す訳です。
 しかし、クロクシコメツキやマルクビクシコメツキ、コガネコメツキ等の幼虫は、土中に生活して植物の根を食べます。こちらは「害虫」になります。
 面白いことに、これらの害虫の幼虫は、農業関係者の間では、ハリガネムシと呼ばれているそうです。勿論、カマキリに寄生するハリガネムシとは全くの別物です。
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葉の先でこれからどうするか迷っている?
跗節先端ではなく、基部に近い部分で体を保持している(2008/05/16)

 テントウムシには、それによく似たテントウムシダマシやテントウミジンムシなどのグループが居ます。コメツキムシにも同様に、コメツキダマシとコメツキモドキが居ます。コメツキモドキ科の昆虫は余りコメツキムシとは似ていませんが、コメツキダマシ科は非常によく似ています。一般に頭が大きく尻すぼみになっている種類が多いのですが、中には外見上はどう見てもコメツキムシとしか思えないものも有ります。
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上唇が見える(2008/05/16)

 検索表に拠れば、コメツキムシ科とコメツキダマシ科の違いは、前者では触角が眼の直ぐ近くに位置するのに対し後者ではやや離れていること、前者では外部から上唇が見えるのに対し後者では見えないところにあります。
 しかし、もっと簡単な方法があります。虫をひっくり返して平らなところに仰向けに置くと、コメツキムシならばやがて動きを止めたかと思うとパチンと勢いよく撥ね跳びます。
 コメツキダマシ類は撥ね跳ばない様です。私自身はコメツキダマシを捕まえたことがないので試してみたことも当然ありませんが、保育社の原色日本昆虫図鑑(上)のコメツキダマシ科の解説には「腹を上にしておいてもはねない」と書いてあります。
 しかし、まァ、世の中には変わった人が居るのと同じく、コメツキムシにも撥ね跳ばない種類があるらしいので、厳密にはやはり検索表に拠るのが一番安全です。

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2008年5月24日 (土)

ヘラクヌギカメムシ

 今週は晴天に恵まれたので、三丁目緑地や四丁目緑地に行って来ました。随分と色々な虫を撮りましたが、その前に、先週四丁目緑地で撮った虫を先に紹介しなければなりません。
 今日は、ヘラクヌギカメムシ、体長12mm前後の中位のカメムシです。

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ヘラクヌギカメムシ.カメムシ科に似ているがクヌギカメムシ科に属す(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/16)

 ヘラクヌギカメムシはカメムシ科ではなく、クヌギカメムシ科という別の科に属します。クヌギカメムシ科には臭線の開口部に棘状突起がありますが、カメムシ科にはありません。
 臭線の開口部は、中肢基部と後肢基部の間にあり、体の真ん中ではなく正中線より少し外側に位置します。下の写真でもそれらしき物が見えています(写真をクリックして拡大して見て下さい)。
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真横から撮ったヘラクヌギカメムシ.中肢と後肢の間に
突起の様なものが見える。気門は黒くない
(2008/05/16)

 クヌギカメムシ科には、背側から見ると殆ど区別の付かないクヌギカメムシ、ヘラクヌギカメムシ、サジクヌギカメムシの3種が居ます。この内、クヌギカメムシは気門が黒いので区別は簡単です。ヘラかサジかは、雄の場合、生殖器を見れば分かりますが、雌は容易に区別が付かないそうです。この個体は雌ですから、実を言うとヘラかサジか分からないのですが、東京都内の記録を見ると、最近はサジクヌギカメムシの報告は無い様なので、ヘラクヌギカメムシと判断しました。
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正面から見たヘラクヌギカメムシ.眼は触角の後(2008/05/16)

 ここに掲載した写真は全て5月16日に撮影したもので、その時はこの1頭しか見ませんでした。しかし、22日に四丁目緑地の少し藪になった所に入ってみると数頭が居ました。この辺りではごく普通の種の様です。
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斜めから見たヘラクヌギカメムシ.眼が赤い(2008/05/16)

 「石神井公園の昆虫」というサイトに拠ると、クヌギカメムシはクヌギ、ヘラクヌギカメムシはコナラを好むそうです。四丁目緑地の付近には、コナラもクヌギも沢山あります。ヘラの付かないただのクヌギカメムシも居るかも知れません(なお、世田谷区の本来の植生はシイ・シラカシ等の常緑樹林で、この辺りに多いクヌギ、コナラ、イヌシデなどはシイ・シラカシ等を切った後に薪炭用として植えられたものだとされています)。
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ミツバツツジ(の類)の葉上を歩くヘラクヌギカメムシ.
直ぐ近くのナラ類から飛んできたのであろう
(2008/05/16)

 秋に比べやはり春は虫が多く、写真が沢山溜まってしまいました。更新頻度を高める必要がある様です。

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2008年5月21日 (水)

ヒメシロモンドクガの幼虫

 10日程前に帰国しました。帰国直後は何かと雑用が多く、写真は撮ったのですが、中々文章を書く時間が有りませんでした。
 帰国第1回目は、久しぶりに毛虫君を紹介しましょう。ヒメシロモンドクガの幼虫、日本全土でごく普通に見られる毛虫です。

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ヒメシロモンドクガの幼虫.左右前方に出た
黒い毛の束がこの毛虫君の「商標」
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/16)

 名前には「ドクガ」が付いていますが、毒針毛はないとされています。同じ様な名前のモンシロドクガは、ドクガ、チャドクガと並んで強力な毒針毛を持っていますので御用心。ヒメシロモンドクガの若齢幼虫はモンシロドクガにかなり良く似ています。しかし、少し大きくなると左右前方に2本の毛の束が突出して、ヒメシロモンドクガ特有の形になります。
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毛虫君の顔.毛から更に細かい毛が出ているのが見える
(2008/05/16)

 写真を調整していて初めて気が付いたのですが、この幼虫の毛は髪の毛のような単純な1本の毛ではなく、毛から更に細かい毛が無数に出ています(写真をクリックして拡大して見て下さい)。毛虫の毛でこう言う構造を持った毛は今まで見たことがありません。ドクガ科の特徴なのでしょうか?  実は、ヒメシロモンドクガの幼虫は、私のもう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」で一昨年紹介してあります。しかし、この時は特に拡大写真は撮らなかったので毛の構造については気が付きませんでした。やはり、拡大してみると色々「発見」が有るものです。
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御食事中の毛虫君(2008/05/16)

 毛虫君の居た場所は「四丁目緑地」です。付いていた植物は、余り注意して見ませんでしたが、カラスノエンドウだと思います。
 「四丁目緑地」は手入れが悪く草ボウボウなので、色々な虫達が居ました。今後も出来るだけ草取りなどしないで、ボウボウの儘にしておいて欲しいものです。

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