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2008年3月11日 (火)

ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種(?)+お知らせ

 今日は一寸変わったハチを紹介します。体長約1.7mm、翅端まで約2.3mmの極く小さなハチです。以前紹介した「チャタテムシの1種」と同じく、「三丁目緑地」にある湧き水の横に生えているタラヨウの葉裏に居ました。

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タラヨウの葉裏に居たホソハネコバチ科のハチ.体長約1.7mm
恐らくGonatocerus属のハチで、雌の個体
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(2008/01/14)

 体の形はアリ(女王)にかなり良く似ています。腹部に淡色の横帯がある所などもアリ的です。しかし、場所は冬の葉裏ですし、行動から見てもアリの仲間ではないでしょう。翅もアリとは異なります。
 非常に特徴的な触角をしています。柄節が長く、先端の棍棒状部はよく目立ちます。この触角をドラムのバチの様に左右互い違いに打ち振りながら、葉裏を歩いていました。触角の振り方は、ヒメバチの様に忙しくはなく、かなりゆっくりです。こう云う動作をするハチを今まで見たことがありません。
 触角を振っているのは、葉の表面にある何かを探しているのだと思います。普通、この様な行動は寄生性のハチに見られます。
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横から見た図.止まっていて歩いてはいない
前胸の側方は肩板に達していない
付節が3節以上あるのが分かる
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(2008/01/14)

 翅に前縁脈以外の翅脈は認められません。また、翅には細かい毛が生えています。これらは、コバチなどに見られる特徴です。本当にそうか、検索表を引いてみました。
 北隆館の新訂圖鑑の検索表では、細腰亜目(植食性でない普通のハチ)の2番目のキーに「後脚の転節は2節」と云うのがあり、後脚の基部など写真からはよく見えませんから、直ぐに行き詰まってしまいます。
 しかし、最近購入した「あっ!ハチがいる」の検索表(図付きで中々便利です)では、有翅->腹部は前伸腹節の下部に付く->触角はテラス状に突出した部分の上に付かない->前肢の翅脈は退化し、翅室はない->胸部と腹部の間に結節はない->口は下向き->縁紋脈はない->前胸側方は肩板に達しない(後脚の転節は2節)、となりコバチ上科に落ちます。後脚の転節数は最後に出ますが、前胸側方が肩板に達していない(2番目の写真)ので、それだけでコバチ上科と判断して間違いないでしょう。北隆館の方の検索表でも、前胸の後方が肩板に達しないことが、コバチ上科の最後のキーになっています。
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歩いているところ.触角を交互に打ち振りながら進む
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(2008/01/14)

 コバチ上科から科への検索は「あっ!ハチがいる」には付いていません。北隆館の圖鑑にはありますのでそれを辿ると、前脚と後脚は非常に太くはない->腹部の柄節は1節、または不明瞭->付節は3節ではなく4~5節(2番目の写真)->触覚は左右が広く離れて顔面に挿入され、長く、♂では糸状で13節まで、♀では節数がより少なく、顕著な1~3節の棍棒状部がある。顔面の触覚挿入部の上部には、複眼内縁に達する横に走る溝状の縫合線がある(下の写真)、となりホソハネコバチ科(Mymaridae)の雌と云うことになります。
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正面から見たところ.中々精悍な感じ
複眼間に横に走る溝が認められる
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(2008/01/14)

 検索表に書かれているホソハネコバチ科の特徴としては、他に「翅の基部はしばしば細く有柄状で、長い縁毛を密生する。後翅は時に糸状か、痕跡的。前翅の前縁脈と縁紋脈は短く、通常翅の中央に達しない。産卵管はしばしば腹端から出る。体長は通常1mm以下。金属光沢はない」などが挙げられています。幼虫は昆虫の卵、特に、半翅目(ヨコバイ亜目、カメムシ亜目)、蜻蛉目(トンボ)、鱗翅目、鞘翅目、脈翅目(アミメカゲロウ)などに寄生し、生物的防除に用いられているそうです。九州大学の日本産昆虫目録には29種が載せられています。
 なお、「あっ!ハチがいる」に拠ると、世界最小のハチ(同時に世界最小の昆虫)はチャタテムシの卵に寄生する本科の1種の雄で、眼も翅もなく、体長は0.139mmとのことです(小さな写真が載っています)。
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翅には前縁脈以外の翅脈は見られない
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(2008/01/14)

 しかし、今日の写真のハチは体長1.7mm、ホソハネコバチ科としては随分大きい種類、と云うことになります。本当にホソハネコバチ科かどうか、調べてみる必要があります。そこで科のラテン名「Mymaridae」で画像検索してみると・・・、ありました。「California Department of Food and Agriculture」のHPの中に、「GWSS Biological Control Agents」と云うページがあり(GWSSはGlassy-Winged Sharpshooterの略で、カリフォルニアやタヒチ島などで猛威を振るったオオヨコバイの1種)、その中に今日の写真のハチに非常に良く似た種類が居ました。Gonatocerus属のハチです。その中でも、特にG. ashmeadiに、腹部の模様以外はよく似ています。この文献にはこのハチの大きさは書かれていませんが、他の文献を調べると1.2~1.7mm、或いは、2mm以下と書かれているので、今日の写真のハチの大きさとほぼ一致します。
 Gonatocerusに属すハチは、九大の目録で6種あります。しかし、東京都本土部昆虫目録ではホソハネコバチ科自体が空欄になっています。このGonatocerus属で多分間違いないと思いますが、絵合わせだけで決めつけるのは問題ですから、ここでは「Gonatocerusの1種(?)」と「?」を付けておくことにしました。
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オマケにもう1枚.何だか前にコケた様な図
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(2008/01/14)

 長期出張の出発まであと2日となりました。今回が出発前の最後の書き込みとなります。再開は5月下旬からの予定で居ります。
 兪々春です。暖かくなると、気が緩みがちですが、お風邪など引かれないよう御自愛下さい。

[追記] 本記事の掲載当初はハチの種類が分からず、表題は「お知らせ+ハチの1種」となっていましたが、その後ハチの種類がある程度分かり、また、「お知らせ」は最後に出ているだけですからで、表題を「ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種(?)+お知らせ」と変更し、内容も大幅に書き換えました(2010/02/01)。

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コメント

おちゃたてむし様

 わざわざの御挨拶恐縮です。私よりも、その内ezo-aphid氏からコメントを頂けるのでは?

投稿: アーチャーン | 2011年3月 8日 (火) 10時33分

おはようございます。
ホソハネコバチ科で検索していてこちらの記事にたどりつきました。私も先日よく似た種を撮っていて、写真で見る限り同種ではないかと思っています。自分ではここまで深く検討することが出来ないので、記事にリンクさせていただきました。よろしくお願いいたします。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月 8日 (火) 08時19分

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