« 2008年2月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年3月の4件の記事

2008年3月11日 (火)

ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種(?)+お知らせ

 今日は一寸変わったハチを紹介します。体長約1.7mm、翅端まで約2.3mmの極く小さなハチです。以前紹介した「チャタテムシの1種」と同じく、「三丁目緑地」にある湧き水の横に生えているタラヨウの葉裏に居ました。

_080114_087
タラヨウの葉裏に居たホソハネコバチ科のハチ.体長約1.7mm
恐らくGonatocerus属のハチで、雌の個体
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 体の形はアリ(女王)にかなり良く似ています。腹部に淡色の横帯がある所などもアリ的です。しかし、場所は冬の葉裏ですし、行動から見てもアリの仲間ではないでしょう。翅もアリとは異なります。
 非常に特徴的な触角をしています。柄節が長く、先端の棍棒状部はよく目立ちます。この触角をドラムのバチの様に左右互い違いに打ち振りながら、葉裏を歩いていました。触角の振り方は、ヒメバチの様に忙しくはなく、かなりゆっくりです。こう云う動作をするハチを今まで見たことがありません。
 触角を振っているのは、葉の表面にある何かを探しているのだと思います。普通、この様な行動は寄生性のハチに見られます。
_080114_080
横から見た図.止まっていて歩いてはいない
前胸の側方は肩板に達していない
付節が3節以上あるのが分かる
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 翅に前縁脈以外の翅脈は認められません。また、翅には細かい毛が生えています。これらは、コバチなどに見られる特徴です。本当にそうか、検索表を引いてみました。
 北隆館の新訂圖鑑の検索表では、細腰亜目(植食性でない普通のハチ)の2番目のキーに「後脚の転節は2節」と云うのがあり、後脚の基部など写真からはよく見えませんから、直ぐに行き詰まってしまいます。
 しかし、最近購入した「あっ!ハチがいる」の検索表(図付きで中々便利です)では、有翅->腹部は前伸腹節の下部に付く->触角はテラス状に突出した部分の上に付かない->前肢の翅脈は退化し、翅室はない->胸部と腹部の間に結節はない->口は下向き->縁紋脈はない->前胸側方は肩板に達しない(後脚の転節は2節)、となりコバチ上科に落ちます。後脚の転節数は最後に出ますが、前胸側方が肩板に達していない(2番目の写真)ので、それだけでコバチ上科と判断して間違いないでしょう。北隆館の方の検索表でも、前胸の後方が肩板に達しないことが、コバチ上科の最後のキーになっています。
_080114_061
歩いているところ.触角を交互に打ち振りながら進む
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 コバチ上科から科への検索は「あっ!ハチがいる」には付いていません。北隆館の圖鑑にはありますのでそれを辿ると、前脚と後脚は非常に太くはない->腹部の柄節は1節、または不明瞭->付節は3節ではなく4~5節(2番目の写真)->触覚は左右が広く離れて顔面に挿入され、長く、♂では糸状で13節まで、♀では節数がより少なく、顕著な1~3節の棍棒状部がある。顔面の触覚挿入部の上部には、複眼内縁に達する横に走る溝状の縫合線がある(下の写真)、となりホソハネコバチ科(Mymaridae)の雌と云うことになります。
_080114_060
正面から見たところ.中々精悍な感じ
複眼間に横に走る溝が認められる
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 検索表に書かれているホソハネコバチ科の特徴としては、他に「翅の基部はしばしば細く有柄状で、長い縁毛を密生する。後翅は時に糸状か、痕跡的。前翅の前縁脈と縁紋脈は短く、通常翅の中央に達しない。産卵管はしばしば腹端から出る。体長は通常1mm以下。金属光沢はない」などが挙げられています。幼虫は昆虫の卵、特に、半翅目(ヨコバイ亜目、カメムシ亜目)、蜻蛉目(トンボ)、鱗翅目、鞘翅目、脈翅目(アミメカゲロウ)などに寄生し、生物的防除に用いられているそうです。九州大学の日本産昆虫目録には29種が載せられています。
 なお、「あっ!ハチがいる」に拠ると、世界最小のハチ(同時に世界最小の昆虫)はチャタテムシの卵に寄生する本科の1種の雄で、眼も翅もなく、体長は0.139mmとのことです(小さな写真が載っています)。
_080114_090
翅には前縁脈以外の翅脈は見られない
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 しかし、今日の写真のハチは体長1.7mm、ホソハネコバチ科としては随分大きい種類、と云うことになります。本当にホソハネコバチ科かどうか、調べてみる必要があります。そこで科のラテン名「Mymaridae」で画像検索してみると・・・、ありました。「California Department of Food and Agriculture」のHPの中に、「GWSS Biological Control Agents」と云うページがあり(GWSSはGlassy-Winged Sharpshooterの略で、カリフォルニアやタヒチ島などで猛威を振るったオオヨコバイの1種)、その中に今日の写真のハチに非常に良く似た種類が居ました。Gonatocerus属のハチです。その中でも、特にG. ashmeadiに、腹部の模様以外はよく似ています。この文献にはこのハチの大きさは書かれていませんが、他の文献を調べると1.2~1.7mm、或いは、2mm以下と書かれているので、今日の写真のハチの大きさとほぼ一致します。
 Gonatocerusに属すハチは、九大の目録で6種あります。しかし、東京都本土部昆虫目録ではホソハネコバチ科自体が空欄になっています。このGonatocerus属で多分間違いないと思いますが、絵合わせだけで決めつけるのは問題ですから、ここでは「Gonatocerusの1種(?)」と「?」を付けておくことにしました。
_080114_068
オマケにもう1枚.何だか前にコケた様な図
(クリックで拡大表示)
(2008/01/14)

 長期出張の出発まであと2日となりました。今回が出発前の最後の書き込みとなります。再開は5月下旬からの予定で居ります。
 兪々春です。暖かくなると、気が緩みがちですが、お風邪など引かれないよう御自愛下さい。

[追記] 本記事の掲載当初はハチの種類が分からず、表題は「お知らせ+ハチの1種」となっていましたが、その後ハチの種類がある程度分かり、また、「お知らせ」は最後に出ているだけですからで、表題を「ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種(?)+お知らせ」と変更し、内容も大幅に書き換えました(2010/02/01)。

| | コメント (2)

2008年3月 9日 (日)

ヒメヨコバイ類3種

 今日もまた国分寺崖線上に位置する「三丁目緑地」で撮った種不明のヨコバイ類を紹介します。3種ありますが、何れも前回の「ヒメヨコバイの1種」に良く似ています。確証はありませんが、ヒメヨコバイ科(亜科)に属すものと思われます。
 体長は何れも約3mm、翅端まで約3.5mmで、ヨコバイの中では小型の種類です。ヤツデ、或いは、ビワの葉裏で越冬をしていました。

Sp2_080114_1_038
ヒメヨコバイの1種.その1.ヤツデの葉裏に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/01/14)

 最初の1種は、前回の「ヒメヨコバイの1種」に特に良く似ています。しかし、全体にもっと細長く、白い部分が少なくて、腹部に白い横帯がありません。前回の「ヒメヨコバイの1種」より白い部分が少ないのは、単なる個体変異に過ぎないかも知れませんが、全体的に印象が違います。分類学的には「印象」などどうでも良いのですが、小さい上に背側から撮った写真しか有りませんので、形態を細かく調べることも出来ず、この際「印象」に頼るほかありません。
Sp2_080114_1_081
上と同じ種類.ビワの葉裏で撮影(2008/01/14)

 背側からの写真しかないのは、どうせ種類など分からないだろう、と思っていたからですが、やはり背側、真横、前の3通りから撮っておくべきでした。
 此処には写真を2枚しか載せてありません。しかし、このヨコバイは他でも何回か見付けました。比較的多い種類の様です。
Sp1_080111_1_035
ヒメヨコバイの1種.その2.白、黒、黄で美しい(2008/01/11)

 次の種類は、白、黒、黄の三色で、中々綺麗なヨコバイです。これはビワの葉裏に居ました。見たのはこの時1回のみです。ビワの葉裏では、他にも既に紹介した、クロスジホソサジヨコバイホシヒメヨコバイ、前回の「ヒメヨコバイの1種」などが越冬していました。かなり長い毛が密生しており、暖かいのか、掴まり易いのか分かりませんが、小昆虫が越冬するのには格好の場所の様です。
Sp2_080114_020
ヒメヨコバイの1種.その3.ビワの葉裏に居た(2008/01/14)

 最後の1種は、ヤツデの葉裏に居たものです。これもこの時1回限りで、その後は見ていません。最初の種類と似ていますが、小楯板の模様が違います。まァ、あまりパッとしないヨコバイです。

 海外へ出発する日が近づいていますが、それまでにもう一回掲載できると思います。しかし、新しい写真は有りませんから、今回と同じく1月に撮った写真になります。

| | コメント (0)

2008年3月 6日 (木)

ヒメヨコバイの1種

 来週中半に東南アジア方面に長期出張することになりました。準備で忙しいのですが、この冬に撮った写真を急ぎ掲載しておきます。
 「三丁目緑地」で撮った、越冬中のヨコバイです。体長は3mm、「ヒメヨコバイの1種」としましたが、本当にヒメヨコバイ科に属すのか自信がありません。翅脈がよく見えず、また、正面から撮った写真が無いので、検索表を見ても判別出来ないのです。ただ、このヨコバイと同種と思われるヨコバイが他の何個所かのサイトに出ていて、やはり「ヒメヨコバイの1種」と書かれています。何れのサイトでも、種名は分からない様です。

Sp0_080114_012
ヒメヨコバイの1種.シュロの葉裏に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/01/14)

 国分寺崖線で越冬しているヨコバイ類の中で一番多いのはクロスジホソサジヨコバイで、これは「三丁目緑地」ばかりでなく「四丁目緑地」近くの雑木林でも、ごく普通です。その次に多いのがホシヒメヨコバイで、これも彼方此方で見かけます。
 この2種に比べると、この「ヒメヨコバイの1種」はかなり少ない方です。それでも、「三丁目緑地」に生えているヤツデ、ビワ、シュロなどの葉裏で時々見つかります。
Sp0_080114_1_048
上と同じ種類.ビワの葉裏に居た(2008/01/14)

 種類が分からないので、何に寄生するのかも分かりません。しかし、雑木林の葉裏で越冬しているこの様なヨコバイの宿主は、よく分かっていないのが一般的な様です。
Sp0_080114_1_054
上の個体を横から撮ったもの.何故か少し太く見える(2008/01/14)

 写真を撮ってみると、中々綺麗なヨコバイです。しかし、体長3mmと小さいので、肉眼的には埃に毛が生えた様なものです。虫に興味が無い人には見えないでしょう。
 こう言う小さい虫を探しながら葉っぱの裏をひっくり返していると、時々蝉の脱け殻が出て来ます。虫で驚く筈は無いのですが、一瞬ギョッとします。ヨコバイに比して、余りに大き過ぎるからです。
Sp0_080111_104
オマケにもう1枚.ヤツデの葉裏に居た(2008/01/11)

 未掲載の種不明ヨコバイはまだ他にもあります。出発の前に出来るだけ掲載しておくつもりです。

| | コメント (0)

2008年3月 3日 (月)

コガモ

 今日も仙川(川の仙川)で撮った鳥を紹介します。仙川に沢山居る水鳥の中で唯一未掲載のコガモです。
 名前の通り最も小型のカモで、仙川に多いカルガモオナガガモの2/3位の大きさしかありません。本Weblogでの掲載が最後になったのも、小さいのと、臆病なので中々近寄れず、大きな写真が撮れなかったからです。今日掲載した写真もやや小さく、もう少し大きく撮り直したかったのですが、新たに撮りに行く余裕がないので、少し小さくても掲載してしまうことにしました。

_071211_030
コガモの小群.右下側3羽が雄、他は雌
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2007/12/11)

 コガモは仙川では個体数の多いカモです。ヒドリガモの方がやや多い様にも思えますが、コガモは陸に上がっていたりすると小柄なので気が付かない場合もあり、実際はコガモが一番多い可能性もあります。
_071211_011
コガモの雄(繁殖羽)(2007/12/11)

 雄の繁殖羽は写真の様に中々綺麗です。胴体の模様はヒドリガモと少し似ていますが、頭部は黒と茶色の染め分けで、その間に白いスジがあり、コガモ独特の模様になっています。
 今回は、非繁殖羽(エクリプス)の写真は有りません。エクリプスの雄は、雌(下)とよく似ており、遠くからでは体が小さこともあり雌雄の区別は難しくなります。
_080110_1_085
小ガモの雌(2008/01/10)

 上は小ガモの雌です。「流し目」をしていて中々色っぽく見えます。しかし、実際は「流し目」をしているのではなく、ただ、警戒してこちらを見ているだけです。多くの鳥の眼玉は人間の眼球の様にグルグル回すことが出来ないらしく、首を曲げなくては上の方が見えないのです。
_071211_054
陸に上がったコガモの雄(2007/12/11)

 今までの仙川での観察では、カモ類が摂食するのは午前中では早朝と昼前らしく(午後は観察していない)、その間の8~10時頃は水鳥の数が少なくなります。何処へ行っているのか分かりませんが、コガモは何処にも行かずに陸に上がって休んでいる個体が多い様です。
_080110_022
陸に上がって休む小ガモの雄(繁殖羽)
眼はシッカリこちらを向いている
(2008/01/10)

 本格的?に休むときは嘴を羽の間に突っ込んでしまいます。しかし、警戒は怠りが無い様で、近づいたりすると、眼だけはチャンとこちらを向いています。
_080110_078
陸に上がって休むコガモの雌雄(2008/01/10)

 岸ではなく、草むらに上がって休んでいる個体もかなり居ます。枯れ草の中に居ると、保護色と言うほどではありませんが、見分けが付き難くなります。最初の方で、「陸に上がっていたりすると小柄なので気が付かない場合もあり・・・」と書いたのは、このことです。

| | コメント (0)

« 2008年2月 | トップページ | 2008年5月 »