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2008年1月25日 (金)

チャタテムシの1種[ケチャタテ科(Caeciliusidae)]

 成城の「三丁目緑地」は国分寺崖線上に有り、その中に湧水が2個所あります。南東の湧水は、スーパーのオーケーストアの対面にあり、崖線下に沿った道からも少し見えますが、北西のはマンション(元は林野庁の宿舎)の裏になっていて分かり難いところにあります。
 この北西の湧水の横に若いタラヨウが1本生えています。葉を傷付けるとその部分が変色して残るので、かつては経文をその葉裏に書いたとのことで有名な木です。タラヨウはモチノキ科の植物ですが、少し離れてみるとタイザンボクに似ており、高さもタイザンボク程度になります。自然分布は静岡県以西とされており、この国分寺崖線上にある林の中で見付けたときは少し驚きましたが、きっと人工的に植えられた樹から鳥が種子を運んできたのでしょう。
 このタラヨウの葉裏に色々な虫が居ました。普通、葉裏で越冬している虫は、地面に近い所にある葉の裏に居るのですが、このタラヨウの場合は一番低い位置にある葉が高さ1.5m位で、高さ2m位の所にも虫が居ました。何れも5mmに満たない小さな虫なので、それ以上の高さにも居るか否かは分かりませんでした。
 今日は、そのタラヨウの葉裏にいた虫の中からチャタテムシの一種を紹介します。

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タラヨウの葉裏に張り付くチャタテムシの1種.複眼が黄色
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/01/14)

 このチャタテムシ、体長わずか2mm、翅端まで3.5mm、屋外に棲むチャタテムシとしてはかなり小さい方です。
 実を言うと、チャタテムシを見るのは初めてです。もう少し大きく幅もある虫だと思っていたので、チャタテムシだと分かるのに少し時間がかかりました。
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横から見たチャタテムシ.翅脈はアブラムシに一寸似ている
(2008/01/14)

 小さいにも拘わらず、今日の写真は拡大率を少し大きくしてあります。一寸無理をし過ぎた感があるのは否めません。
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前から見たチャタテムシ(2008/01/14)

 5頭位見付けましたが、探せばもっと居るでしょう。種名は残念ながら分かりません。Internetで検索してもこの様な複眼の黄色いチャタテムシは見つかりませんでした。
 体形はホソチャタテによく似ていますので、ホソチャタテの近縁種だと思います。[ケチャタテ科(Caeciliusidae)でした。追記参照のこと]。
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葉裏を歩き回るチャタテムシ(その1)
(2008/01/14)

 チャタテムシは以前はチャタテムシ目に属すとされていましたが、最近ではシラミやハジラミと一緒に咀顎(そがく)目に入れられており、チャタテ亜目、コチャタテ亜目、コナチャタテ亜目の3亜目に分けられています。室内害虫として知られているのはコチャタテ亜目やコナチャタテ亜目に属し一般に無翅ですが、ここで紹介した様な屋外のチャタテムシはチャタテ亜目所属で有翅です。
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葉裏を歩き回るチャタテムシ(その2)
(2008/01/14)

 タラヨウの葉裏には、このチャタテムシの他に、キノコバエの類2種、小型の一寸見ただけでは科の分からないハエ数種、ヒラタアブの蛹に寄生するコバチによく似たハチ、蝶の様な棍棒状の触角を盲人の杖の様にして歩く見たことのないハチ等の小昆虫が居ました。横に湧水があるので、湿った所を好む虫が多いのかも知れません。面白いことに、ヤツデやビワの葉裏に居たヨコバイの類は1頭も見ませんでした。
 大きさも小さく、正確な種類が分からない虫ばかりですが、その内紹介するかも知れません。

[追記] その後、チャタテムシに関する文献を幾つか入手し、科まではある程度分かる様になりました。北大の吉澤準教授が書かれた「Morphology of Psocomorpha」に各科の翅脈図があり、これにより科を推定することが出来ます。それに拠ると、写真のチャタテムシはケチャタテ科(Caeciliusidae)に属す様です。また、富田・芳賀の「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」にはケチャタテ科の種までの検索表があります。しかし、今日の写真から種を同定することは出来ませんでした。日本産ケチャタテ科はまだよく研究されて居らず、未記載種や未記録種もかなりある様です。
 今日のチャタテムシをケチャタテ科に属すこととし、表題と本文中に訂正([]の中)を入れておきました。(2011/02/12)

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