カテゴリー「植物」の4件の記事

2009年3月30日 (月)

ツタバウンラン

 3月に入ってから、春の雑草としてオオイヌノフグリコハコベヒメオドリコソウの3種を掲載しました。しかし、何れも余りにありふれていて、書く方としても気が引けてしまう様な植物でした。そこで今日は、多少は陳腐でない植物を紹介しようと思います。
 ゴマノハグサ科のツタバウンラン(Cymbalaria muralis)、この辺りではこれまで見た記憶のない植物です。しかし、Googleで検索すると6,500位はヒットするので、決して珍しい植物ではない様です。

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不動坂下付近に咲いていたツタバウンラン
花の幅は1cm程度.右下に地上を這う茎が見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/21)

 咲いていたのは不動坂下近くにある電信柱の根元です。この辺りは傾斜地なので、石垣が多い所です。ツタバウンランはロック・ガーデンに植えることが多いそうですから、何処かこの近くの御宅で石垣にでも植えたのが逸脱して、電信柱の根元で咲いていたのかも知れません。
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もう少し近づいて見る.中々可憐な花
(2009/03/21)

 在来種ではなく原産は欧州です。大正元年にロック・ガーデン用植物として渡来したそうで、北海道と本州で野生化しているとのことです。ツタカラクサの別名があります。写真を見ても、茎が地上を這っているのが分かりますが、所々で不定根を出すのだそうです。その不定根により植物体を固定するので、ロック・ガーデンの様なところでも滑り落ちないで済むのでしょう。
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葉には浅い切れ込みがあり先は僅かに尖る
(2009/03/21)

 花は葉腋に単生します。オオイヌノフグリやコハコベなどよりは少し大きく、幅約1cmあります。花の形は、同じくゴマノハグサ科の雑草、トキワハゼによく似ています。ゴマノハグサ科植物の花には色々な形がありますが(先日のオオイヌノフグリもゴマノハグサ科)、何故か、こう言う形の花を見ると、如何にもゴマノハグサ科と言う感じがしてしまいます。
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ツタバウンランの花.雌蕊も雄蕊も見えない
(2009/03/20)

 保育社の帰化植物図鑑に拠ると、雌蕊は1個、雄蕊は4個だそうですが、花を外部から見ても雌蕊雄蕊は見えません。花の形(唇形花)の似たシソ科(例えばヒメオドリコソウ)やキツネノマゴ科の植物では、雄蕊は上唇にくっ付いているので良く見えます。同じ唇形でも、やはり科が違うだけあって、花の構造はかなり違います。
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横から見ると、花の後に距があるのが分かる
(2009/03/20)

 果実は球形で径5~6mm、真ん丸で下垂するそうです。種子は径1mmで基本的に球形ですが、図鑑を見ると、複雑な深い皺を持っています。
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オマケにもう1枚.花の下側から撮影
(2009/03/20)

 このツタバウンラン、花も葉っぱの形も気に入りました。果実の熟す頃になったら、種子採取を兼ねて、もう一度見に行ってみるつもりです。

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2009年3月28日 (土)

ヒメオドリコソウ

 3番目の春の雑草はヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)です。撮影地は「四丁目緑地」ですが、これも先日のオオイヌノフグリコハコベと同じく、この辺り(東京都世田谷区西部)で何処でも見られる早春の草花です。

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群生するヒメオドリコソウ.オオイヌノフグリと混生している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 シソ科の帰化植物で、保育社の帰化植物図鑑に拠れば、欧州原産、明治26年(1893年)に松村任三(日本植物分類学の先駆者、東京帝国大学附属小石川植物園初代園長)が東京の駒場で見つけたのが最初の記録だそうです。その後全国に拡がり、今や、東京や長野では害草化しているところもある様です。また、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」には、広く世界中に帰化していると書かれています。
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もう少し近寄って見る.真っ直ぐではなく少し斜上する
(2009/03/19)

 上の写真で分かる通り、下の方に着いている葉は長い葉柄を持ち、先の丸い心臓形をしていますが、上部に行くにつれて葉柄が短くなり葉先が尖って来ます。この写真では見えませんが、最上部の葉は無柄の包葉になっています。
 また、本種の特徴として、上部の葉は赤紫色を帯びます。
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ヒメオドリコソウの上部.葉は赤化している
葉の間から花が頭を出している
(2009/03/19)

 茎は真っ直ぐではなく、やや斜めです。普通、斜めに撮影された植物は、写真を調整するときに直してしまうのですが、これは本来が斜めなので、その儘斜めにしてあります。
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花を拡大(2009/03/19)

 花は長さ1cm程度、シソ科ですから唇形をしています。雄蕊が4本上唇に接しており、雌蕊はその中にあって目立ちません。
 1個の花だけを拡大してみました(下)。正面から見ると、上唇の上側と葯の後側にある毛が目立ちます。花冠の内側は無毛です。
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1個の花を拡大.上唇上面と葯裏側の毛が目立つ
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウの花は、葉腋に着き、葉の間から頭をチョコンと出した感じです。中々横から全体が見えないのですが、沢山の花の中から探して横から撮ったのが下の写真です。花冠の基部が長く細くなっているのが見えます。殆ど無柄です。
 また、上唇も下唇も1つの花冠から出た突起に過ぎないことが良く分かります。毛は花冠の外側全体に生えている様です。
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横から見たヒメオドリコソウの花.(2009/03/19)

 葯を高解像度で撮ってみました。まだ咲き始めで、上の写真の様に葯が充分開裂していません。4個の雄蕊の中央に雌蕊がある様に見えますが、今一つハッキリしません。
 下唇が邪魔をして葯の存在する面と焦点面を合わせることが出来ず、下側の葯では一部焦点が外れています。しかし、まァ、偶にはご愛敬と言うことで、御勘弁下さい。
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葯の拡大.一部焦点が外れているが、まァ、ご愛敬
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウと似た春の草花に、同じシソ科のホトケノザがあります。屡々ヒメオドリコソウと混生しており、時に間違える人も居る様です。これも撮ってありますから、近日中に紹介しましょう。

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2009年3月24日 (火)

コハコベ

 春の雑草、その第2段はコハコベ(Stellaria media)です。撮影したのは、先日のオオイヌノフグリと同じく四丁目の国分寺崖線下ですが、今、町の何処でも開花が見られる雑草の一つです。
 コハコベの同属近縁種によく似たミドリハコベがあります。保育社の植物図鑑のコハコベ(図鑑ではハコベが和名でコハコベは別名となっている)の解説には、「一般にはミドリハコベとともにハコベといい小鳥の餌とする。また春の七草の一つとして正月七日のかゆに入れて食べる」と書かれています。しかし、コハコベは下の写真の様に、地面に匍匐する感じで葉も小さく、どうも私の感覚では、ミドリハコベの方がハコベらしいと言う印象があります。なお、このミドリハコベも近日中に紹介する予定です。

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地面を這うコハコベ.花は小さくて良く見えない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 ナデシコ科に属しますから、葉は対生で、花弁は普通5枚です。花は小さく(上の写真では何処に咲いているのか分かり難い)、径は7mm程度、しかし、何時も撮っている小さいハエ(例えばノゲシケブカミバエ)やチャタテムシと較べれば、随分大きな被写体です。
 葉は殆ど無毛です。花柄と茎の片側には白っぽい軟毛が生えており、それが筋の様になっています。これは、保育社の図鑑に拠れば、サワハコベを除くハコベ属(Stellaria)共通の特徴です。
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コハコベの先端部.花柄や茎の片側に軟毛が生えている
(2009/03/15)

 花を等倍接写してみました。小さいですが、中々綺麗な花です。個々の花弁が2深裂し、一見10枚の様に見えます。花弁の後に毛の生えた萼がありますが、その長さが花弁よりやや長いのがコハコベの特徴です。
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コハコベの花.花弁と萼は5、花柱は3、雄蕊3
(2009/03/15)

 雌蕊は3つに分かれ、雄蕊は此処に掲載した写真では何れも3本です。しかし、雄蕊の数はかなり変動的で、保育社の図鑑には1~7と書かれています。
 綺麗なので、正面からの写真を3枚載せることにしました。
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コハコベの花(その2)
(2009/03/15)

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コハコベの花(その3)
(2009/03/15)

 正面からの写真では、花は平らに見えますが、実際は中心部がかなり窪んでいます。斜め横から撮ると、下の写真の様になります。
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斜め横から見たコハコベの花
(2009/03/15)

 3月中下旬には6回も写真を撮りに行ったので、また写真が沢山溜まってしまいました。春先は虫よりも花を着けた雑草の方が種類が多いので、今後暫くは植物が続くこともあるかも知れません。

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2009年3月18日 (水)

オオイヌノフグリ

 ここ数日、如何にも春らしい好天が続いています。15、16日と写真を撮りに行って来ました。更に、昨日(17日)も買い物ついでにカメラをぶら下げて行ったので、全部でかなりの種類を撮影することが出来ました。しかし、撮影と写真の整理に時間がかかり、写真の仕上げや原稿を書いたりする余裕はありませんでした。
 漸く写真の一部が出来たので、今日はその中から、如何にも春らしい植物、オオイヌノフグリ(Veronica persica)を紹介します。ゴマノハグサ科に属す極くありふれた雑草ですが、綺麗な色をした花を沢山着け、密生すると中々素敵です。

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オオイヌノフグリ.密生すると非常に綺麗
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/15)

 現在は何処にでもある雑草で、中々日本的な風情のある花を着けます。しかし、これも帰化植物です。保育社の「原色日本帰化植物図鑑」には、原産は西アジアで、「明治20年(1887年)頃、東京に帰化していることが牧野富太郎、大久保三郎などによって認められた」と書かれています。
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もう少し近づいて見る
(2009/03/15)

 撮影したのは4丁目の国分寺崖線下です。ハコベやオランダミミナグサと一緒に生えていました。今、町内の何処でも見られる、と言ってよいほど彼方此方で咲いていますが、此処ほど高密度で咲いている所は少ないと思います。
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更に接近(2009/03/15)

 花は径約1cmと小さく、大部分は鮮やかな青色をしており、1本の雌蕊と2本の雄蕊があります。花弁が4枚ある様に見えますが、ゴマノハグサ科は合弁ですから、1個の花冠が4深裂しているのです。
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オオイヌノフグリの花.雌蕊1本雄蕊は2本
(2009/03/15)

 オオイヌノフグリは、在来種のイヌノフグリと同属近縁で、それよりも全体的に大きいので付けられた名前です。フグリとは陰嚢のことですから、随分酷い名前です。しかし、帰化植物図鑑に参考として載っているイヌノフグリの果実を見ると、「な~るほど」と思ってしまいます。オオイヌノフグリの果実は先端が少し尖っていて、余り「ふぐり」を思わせる形ではありません。
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横から見た図.花全体に焦点を合わせようとしたが一寸無理で
かえって中途半端なボケ具合の写真になってしまった
(2009/03/15)

 昨年秋に撮った写真はまだまだ沢山残っていますが、これらは基本的に今年の秋に1年遅れで出すことにして、これからは暫く季節に相応しい動植物を紹介することにします。

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