ザクロソウ(Mollugo pentaphylla)
今日は久しぶりに植物を紹介します。ザクロソウ(Mollugo pentaphylla)です。国分寺崖線下の4丁目にある、何も生産していない生産緑地に、畳半分位の広さで群生していました。
![]() ザクロソウの群落.畳半分位の広さがあった 午後に撮影したせいか、開いている花が無い (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
上部の茎に付いている葉は対生しており、花は子房が大きく5弁花なので、ナデシコ科かとも思いましたが、ザクロソウ科(Molluginaceae)でした。園芸種として有名なマツバギク(アフリカ原産)もかつてはこのザクロソウ科に含まれていました。しかし、現在ではハマミズナ科(Aizoaceae)の所属になっています。当時は、Aizoaceaeの和名はザクロソウ科でした。AizoaceaeからMolluginaceaeが分離し、和名はAizoaceaeがハマミズナ科、Molluginaceaeがザクロソウ科となった訳です。
![]() 群落の周辺部.這う様にして拡がる (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
近縁種に、クルマバザクロソウがあります。ザクロソウの下部の葉は3~5輪生するのに対し、クルマバでは4~7と多く、また、葉の形は前者では細長い倒披針形ですが、後者ではもっと幅が広く特に下部では匙状になるのが普通の様です。茎にも違いがあり、前者には稜がありますが、後者にはありません。
決定的な違いは、花の付き方です。ザクロソウでは、写真で明らかな様に、茎の先端に聚繖(集散)花序に付きます。これに対し、クルマバは腋生します。前者の花被片(萼)には中央に1本の脈がありますが、後者では更に周辺に沿って1本ずつ、全部で3本の脈があります。
![]() 上の写真の右上部分を少し違う角度から拡大撮影 クルマバザクロソウとは異なり、花は頂生する 茎には分かり難いが稜が認められる (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
今日の写真は、今年の10月2日に撮ったのですが、色々な理由で掲載が遅れました。先ず、写真の群落の中に咲いている花が全くと言って良い程ありませんでした。開いている花は、最後の2枚の写真に写っている2輪だけでした。
![]() 最初の写真の中央部を低い確度から撮影 虫はオオタバコガの5齢幼虫であろう (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
調べてみると、花は午前中には開いているが午後になると閉じる、とのことなので、カメラを持っていない時に確認したところ、確かに12時近くまでは咲いていました。2回確認したので、その後カメラを持って天候の良い日の午前中に出掛けたのですが、何故か全く開いていません。やはり、植物、特に草本の写真は花が沢山開いていないと、合格点は上げられません。
![]() 2輪だけ咲いていた花。花弁ではなく花被片(萼片) 中央に1本だけ脈が認められ、周辺に脈はない (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
ザクロソウは、果実が熟すと、果皮が割れて中から真っ赤な種子がこぼれる出るそうで、これがその和名の起源とのことです。そこで、是非その赤い種子が見える割れた果実を撮ろうと思い、1ヶ月程経ってからまたカメラを持って見に行きました。しかし、何と、除草剤をかけられて写真の群落は勿論、他の草本も完全に枯れていました。和名の元になっている果実を撮影出来なかったのは、誠に残念でした。
この2つの理由で、掲載を躊躇していたのです。
![]() 同じ花を斜めから撮影.雄蕊は3本 花柱も3本の筈だが明瞭でない (写真クリックで拡大表示) (2010/10/02) |
来年まで待とうかとも思ったのですが、来年もこの様な大群落が出現する可能性はまず無いでしょう。3年前に掲載したオオケタデ(オオベニタデ)やオオイヌタデは、その後全く見られません。また、未掲載で倉庫に眠っている植物の写真は他にもかなり沢山あります。
そこで、写真としては些か不充分なのですが、これ以上在庫を増やすのも問題なので、思い切って掲載してしまうことにしたのです。
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