2012年3月11日 (日)

クチキムシ(Allecula melanaria

 6日、7日と春の様な日が訪れましたが、それ以外はここ2週間ばかし雨模様の肌寒い日が続いています。それでも、今日は、少し薄日が射してきました。しかし、まだ土はグチャグチャ、草木も濡れたままです。虫撮りに行くのはまだ一寸無理の様です。
 そこで、今回も昨年の冬に撮った写真を出すことにしました。

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ケヤキの樹皮下で越冬するクチキムシ
右下の白いのは越冬中のクモの巣
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 クチキムシ(Allecula melanaria)です。昨年の1月に掲載した「マドチャタテ科の1種」が居たのと同じ、7丁目にあるケヤキの樹皮下で、3頭一緒に越冬していました。
 「集団越冬」と云うには少な過ぎますが、条件によっては多くの個体が集まって越冬することがあるのかも知れません。同属近縁種のオオクチキムシは時に集団越冬することが知られています。
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胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無い
鞘翅、胸部背面、頭部上部は黒、他は赤褐色
オオクチキムシとは異なりツヤがある
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 どうも、この手の虫は(も)苦手で、見つけた時はゴミムシ類かと思いました。しかし、正面から見ると(下)、大顎がよく見えず、ゴミムシダマシ科かその近縁の虫の顔をしています。
 以前(2008年8月)、「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下に居たゴミムシダマシ科のセスジナガキマワリを紹介しましたが、その顔ととかなりよく似ています。
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一見ゴミムシに似ているが、顔は全く異なる
触角第3節と第4節はほぼ等長
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 家に帰り、早速、保育社の甲虫図鑑第3巻で探してみました。胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無く、釣鐘に近い形です。脚や頭部前半、触角、胸部下面は赤褐色で他は黒色、胸部や鞘翅の上には黄色い短毛が生えています。残念ながら、ゴミムシダマシ科には該当する種がありませんでした。
 そこで、近縁の科を調べて見たところ、名前だけはよく知っているが実物は見た記憶のない、超普通種のクチキムシ(Allecula melanaria)であることが分かりました。些かガッカリ・・・。
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胸部下面は赤褐色をしており、前腿節が太い
胸部、鞘翅には黄色の短毛が生えている
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 クチキムシはクチキムシ科(Alleculidae)クチキムシ亜科(Alleculinae)に属し、ゴミムシダマシ科と同じゴミムシダマシ上科(ヒラタムシ上科)に属します。
 名前の通り朽木に多く、幼虫も、「虫ナビ」に拠れば、朽木を餌とするそうです。また、同サイトには「触れるとやや臭い匂いを出す」とあります。写真の虫には触れてはいないので確認は出来ませんでしたが、この次見つけたら試してみましょう。
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斜め上から見たクチキムシ.撮影中全く動かなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 本種に似た種として、先に挙げたオオクチキムシ(A. fuliginosa)が居ます。写真のクチキムシの体長は10mm強(甲虫図鑑では10~12mm)ですが、オオクチキムシは14~16mm(同図鑑に拠る)とかなり大型です。図鑑に拠れば、上翅には黒褐色短毛があり、触角第3節は第4節よりも明らかに短いとのこと。
 また、図鑑では良く分かりませんが、Web上の写真を見ると、キクイムシにはツヤがあるのに対し、オオキクイムシは体全体が「艶消し」になっており、かなり印象が異なります。
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オマケの1枚.
(写真クリックで拡大表示)
(2011/01/11)

 保育社の図鑑を見ると、クチキムシ科の近縁に、クチキムシダマシ科(Elacatidae)と云う科があります。日本には2属4種しか居ない小さな科です。この科はチビキカワムシ科(Salpingidae)に入れられることもあるとのことで、九大の目録では、この科に属す4種はチビキカワムシ科所属となっていました。
 この辺りの科には、「ダマシ」や「モドキ」がゴマンと居るので、充分に注意する必要があります。

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2012年3月 4日 (日)

ウスイロチャタテ科(Ectopsocus sp.)の卵塊

 昨日、ウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)に属すEctopsocus sp.の雄を掲載しました(雌の方はこちら)。今日は、その直ぐ近くで「ついでに撮った」同種の卵塊と思われるものを紹介しましょう。
 ついでに撮った(と言うかチャタテムシの卵の記録として参考程度に撮った)ので写真は1枚しか無く、しかも、親と思われる個体と卵塊の両方に焦点を合わせようとしたので、卵塊の右上は焦点を外れています。
 ところで、先日、私もよく御邪魔しているBABA氏のWeblog「虫をデザインしたのはダレ?」の2012年2月19日付記事に、常緑樹の葉裏に屡々見られる、これまで正体不明であった金属光沢を持つドーム状の構造が、実はチャタテムシの卵であったと云う「大発見」が載っていました。この「金属ドーム」は私も屡々見ており、例えば、2010年3月15日に掲載した記事「マルトビムシの1種」の写真1枚目の左下に写っています。
 そのBABA氏の記事に関して、Psocodea氏(チャタテムシの専門家、北大准教授の吉澤和徳氏のハンドルネーム)が「・・・.チャタテ科などでは,産卵したあと糞で卵を覆い隠したりします.・・・」とコメントされており、それに対してBABA氏が「・・・.糸の上や糞で隠す等、1度お目にかかって見たいものです.・・・」と答えて居られました。
 そこで今日は、その糞(と思われるもの)がかかっている卵塊の写真を載せることにしたのです。

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ウスイロチャタテ科のEctopsocus sp.の成虫雌と卵塊
この卵塊は横に居る成虫雌が産んだものと思われる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 撮影したのは昨日のと同じく、国分寺崖線下の4丁目の何も生産していない「生産緑地」に植えてある、セイヨウヒイラギと思われる木の葉裏です(因みに、赤い実を着けるセイヨウヒイラギは、ヒイラギの属すモクセイ属:Osmanthusではなく、モチノキ属:Ilexです。モクセイ属植物の実は総て濃い黒っぽい色をしています)。昨日のEctopsocus sp.の雄を撮影したミカンの木から僅か7m程度しか離れていません(なお、撮影日は何れも3月15日ですが、成虫の方は2009年、この卵塊は2010年に撮ったものです)。
 この年(2010年)、この木の葉裏には色々なチャタテムシの卵・幼虫・成虫が居たのですが、その後は、残念ながら殆ど見かけません。ここから幼虫や卵を拉致して飼育してみようと思っていたのですが惜しいことをしました。
Escopsocus03e_100315_068
上の写真を部分拡大(ピクセル等倍)したもの.卵の上には糸が
掛けられており、それに糞の様なものやゴミが付着している
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 卵の上には糸が張り巡らされており、その糸にほぼ確実に糞と思われるものやゴミの様なものが付着しています。
 問題は、卵の横にいるEctopsocus sp.の成虫が本当にこの卵を産んだのかと云うことでしょう。「ウスイロチャタテ 卵塊」で画像検索してもそれらしきものは何も出てきませんでした。しかし、「Ectopsocus eggs」で検索すると、「My Bit of The Planet」と云う英国のサイトに、 Ectopsocus petersiの成虫が、糞の様なゴミの付いた卵塊の上に乗っている写真が見つかりました(原文は ・・・obviously being watched over by an adult (I assume the parent) Ectopsocus petersi)。
 写真は撮っていませんが、私は今日のと同じ様な卵塊のすぐ近くにEctopsocus sp.の成虫が居るのをこれまでに何回か見ています。これらのことから、この卵塊は横にいるEctopsocus sp.の成虫が産んだものと思って先ず間違いないと思います。表題に「?」は付けませんでした。

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2012年3月 3日 (土)

ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)(雄)

 今日はひな祭り。余りこちとらには関係ありませんが、もう3月です。本年2月の更新は1回のみ、すっかりサボリ癖がついてしまった様です。
 最近は虫撮りに出かけていないので、今日は、以前「今日は雌のみにして、雄の方は、また別の機会に紹介したいと思います」と書いたウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)のEctopsocus sp.の雄を掲載することにしました。雌に関する記事は2010年3月に掲載、写真はその前年(2009年3月)に撮影したものです。今日の写真も同じ日に同じ場所で撮影したものですから、何と4年前、我ながら一寸酷いですね。
 なお、この頃は普通の等倍マクロで撮影していました。従って、画質は最近のものと較べてかなり落ちますが、何卒御容赦下さい。

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「三丁目緑地」の何も生産していない「生産緑地」に植えてある
ミカンの木の葉裏にいたEctoscopus sp.の雄
体は雌よりずっと小さいが翅は大きく長い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 今日のチャタテムシの写真は、2個体を撮影しています。最初の7枚は同じ個体で、体長約1.9mm前翅長約2.8mm、最後の2枚は別個体で体長約2.0mm前翅長約2.9mmです。
 3年前に載せたの方は、体長2.9mm前翅長2.4mmでしたから、体長では雌の方が大きく、前翅長では雄の方が大きいと云うことになります。
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上の写真の拡大(ピクセル等倍).白い矢印で示したのが
ウスイロチャタテ科の特徴の1つである
後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 その雌の方の記事に、ウスイロチャタテ科の特徴として、「前翅は後小室を欠き、M脈とRs脈がほぼ1点で交わり、また、後翅のM脈とRs脈の間に横脈があります」と書きました(前翅の翅脈相についてはこちらの3番目の写真をどうぞ)。前翅の方は雌の写真でも良く分かったのですが、「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」は良く見えませんでした。それが、この雄の写真では見えています。
 上の写真はその上の写真をピクセル等倍にしたものです。前翅と後翅の翅脈の両方が写っており、些か見難いですが、白い矢印で示した横脈が「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」です。矢印先端の外側にあるぼやけた黒斑は、前翅の「M脈とRs脈がほぼ1点で交わっている」部分です。
 なお、翅脈相については北海道大学農学部吉澤和徳准教授の学位論文「Morphology of Psocomorpha」を参照しました。
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横から見たEctoscopus sp.の雄.上と同一個体(以下同じ)
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 実は、3年前と今日の記事に載せたチャタテムシが本当に同種の雄雌なのか、確実な証拠はありません。しかし、「Pscoptera of Texas」と云うチャタテムシの専門家が掲載しているサイトに、チャタテムシ類の雌雄の写真が対になって示されており、本種に近いと思われるEctopsocus californicusを見ると、胴体が短く、翅の長いのは雄となっていますから、今日のチャタテが雄であることは間違いないでしょう。
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斜め上から見たEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 雄雌の問題はヨシとしても、本当に同種なのかには、些か疑問があります。吉澤教授が執筆された「皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫」には、Ectopsocus属は2種しか載っていません。しかし、同教授の「Checklist of Japanese Psocoptera(Jul. 9, 2004)」には7種(その内本州産は4種)が載っており、また、「Psocodea Species File Online」と云うサイトを見ると、このEctopsocus属は世界で174種が記録されている大所帯です。
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正面から見たEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 吉澤教授に拠れば、「本属(Ectopsocus)の種は外見上きわめてよく似ているが・・・」とあり、また、日本国内での研究が充分行われている様には思えませんので(日本国内の種について充分研究が行われている属では、吉澤教授の命名した新種が必ず多数入っているのですが、このウスイロチャタテ科にはその様な種は1つもありません)、2種が混ざっているかも知れません。しかし、その可能性は少ないと思いますので、本記事の表題はEctopsocus spp.ではなく、Ectopsocus sp.としておきました。
 なお、このEctopsocus sp.は、多分E. briggsiではないかと思うのですが、確証がないのでEctopsocus sp.としてあります。その判断については、3年前の記事に詳しく書きましたので、此処では繰り返しません。
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ミカンの葉裏を逃げ回るEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 最初に書いた通り、今日の写真は4年前の2009年3月に撮影したものです。場所は国分寺崖線下の4丁目にある、何も生産していない生産緑地内のミカンの木の葉裏です。この年は、このEctopsocus sp.が非常に多く、他の場所でも沢山見付けましたが、この辺り(東京都世田谷区西部)では、普段はそれ程多い種ではありません。
 次の2010年は、ヨツモンホソチャタテが非常に多く見られました。驚いたことに、今まで一度も見たことがない我が家の庭でも発生しました(この時は、卵から成虫までを写真に収めることが出来ました。その記録は此方をどうぞ)。年により、特定のチャタテムシが多くなると云うのは、些か興味のある現象です。
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オマケに同一個体の正面からの写真をもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 下に、別個体の写真を2枚載せておきます。何れも同じ日に同じ場所で撮影したものです。
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別個体.此方の方がやや大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 
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上の個体を正面上方から見たところ
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 今年の冬は、雨や雪が多く、また、晴れの日は霜柱が例年になくリッパに立って、地面がグチャグチャです。「三丁目緑地」やこのチャタテムシを撮った「生産緑地」もグチャグチャだと思うと中々虫撮りに出掛ける気がしません。しかし、昨年以前に撮った未掲載の写真が倉庫に沢山眠っていますので、それらをボチボチと紹介して行くつもりです。

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2012年2月19日 (日)

ツマグロコシボソハナアブ(Allobaccha apicalis

 私のもう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」は楽天のWeblogなのですが、楽天という会社はWeblogと言うものを金儲けの手段としか考えていないらしく、3週間程前からアクセス情報はカウンターのみとなり、また、メール機能も削除してしまいました。その上、品のない派手な広告が増えてすっかり厭になり、記事を書く気が萎えてしまいました。
 これが、此方にも波及して、暫く更新が途絶えていましたが、これはcocologには関係ない話なので、急いで更新することにします。
 今日、紹介するのは、前回、前々回と同じく、「三丁目緑地」で撮影したツマグロコシボソハナアブ(Allobaccha apicalis)です。コシボソハナアブ類は、「三丁目緑地」では屡々目にするのですが、何時も何処にも留まらず飛び去ってしまい、今まで撮影出来たことがありませんでした(「三丁目緑地」以外では、八丁目の駐車場で撮影したマダラコシボソハナアブを2006年に掲載しています)。
 写真の個体は複眼が離れているので雌です。名前の通り翅端近くに黒斑がありますが、雄では翅全体が黒化するそうです(「一寸のハエにも五分の大和魂・改」No.4663、ハナアブ研究者の市毛氏の談)。

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「三丁目緑地」に有る杭に留まるツマグロコシボソハナアブ(雌)
翅が些か捻れていて、右側は焦点が合っていない
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 「三丁目緑地」内の西北部にある、泉の横に打ち込まれた杭に留まっていました。翅が少し歪になっていたので、背面から撮った写真では、右前翅の翅脈の大部分は焦点を外れています。
 コシボソハナアブ類は、この辺り(東京都世田谷区西部)では、暖かい時期には時々見かけるのですが、冬に入ってから見るのは初めてかも知れません。果たして、越冬個体なのか、前回のジョロウグモの様に、秋の生き残りなのか、コシボソハナアブ類の越冬態を調べて見ましたが、良く分かりませんでした。
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横から見たツマグロコシボソハナアブ
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 コシボソハナアブは、腹部が細長くて独特の形をしています。しかし、ハナアブ科(Syrphidae)ヒラタアブ亜科(Syrphinae)コシボソハナアブ族(Bacchini)に属す、捕食性ヒラタアブの仲間です。
 永井正身氏の「大阪城公園の哺乳類,爬虫類,両生類」(追手門学院創立120周年記念事業大阪城プロジェクト調査報告書 いのちの城・大阪城公園の生きもの,103−105,2008)に、本種に関する記述があります。ヤツデの葉裏でアブラムシを捕食していたヒラタアブ類の幼虫を持ち帰って飼育したところ、本種の成虫が得られたそうです。幼虫や蛹の写真も載せられていますが、全く普通のヒラタアブ類の幼虫・蛹の形をしています。成虫の形態は随分違うのに、面白いものです。
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斜め前から見たツマグロコシボソハナアブ
真っ正面からは撮影出来なかった
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 コシボソハナアブ族は、九州大学の目録では2属10種、これより新しい「みんなで作る双翅目図鑑」に付属する目録では2属13種、市毛氏による「ハナアブ写真集」には2属6種が載っています。かなり違いがある所をみると、まだ良く整理されていないのかも知れません。
 なお、「コシボソハナアブ」の名が付くハナアブは、コシボソハナアブ族以外にも何種かあります。同じヒラタアブ亜科に属すオオコシボソハナアブ(Doros profuges:ヒラタアブ族)の他、ナミハナアブ亜科(Milesiinae)タマヒラタアブ族(Chrysogasterini)Neoascia属に「チビコシボソハナアブ」の名が付くものが数種あります。
 また、名前は違いますがタマヒラタアブ族ハナダカチビハナアブ(Sphegina)属の種は、市毛氏の「ハナアブ写真集」を見る限り、何れも(10数種)腹部が細長く先が膨らんでおり、コシボソハナアブ類と間違える可能性があります。しかし、この仲間は、後退節が非常に太く、また、翅脈も異なるので、コシボソハナアブ族とは容易に区別が付きます。

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2012年1月28日 (土)

ジョロウグモ(Nephila clavata)(雌)

 もう1月も終わりに近づいて来ました。今月(今年)はまだ1回しか記事を書いていないので、急いで更新することにします。
 前回掲載した「ケチャタテ科の1種(その5)」が居た、「三丁目緑地」に生えているタラヨウの木に「巣」を張っていたジョロウグモ(Nephila clavata)の雌です。

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越年したジョロウグモの雌.暗い林の中に居た
「巣」は1本の糸のみで保たれている
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 ジョロウグモは、秋にはそこいら中に居て、しかも、陽の当たらない側に背を向けているので撮り難く、今まで掲載しないまま放置していました。
 ジョロウグモは卵越冬で、成体の多くは12月中にあの世に行ってしまうそうです。実際、越年したジョロウグモをこの辺りで見たのは初めてかも知れません。掲載することにした理由の一つです。
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横から見た越年ジョロウグモの雌
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 もう一つの理由は、暗い林の中の開けた空間に「巣」を張っていて、撮り易かったことがあります。表、裏、側面を容易に撮ることが出来ました。しかし、背景が暗いので補助光を必要とし、ストロボを焚けば腹部が白飛びするので、良い写真にはなりませんでした。
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裏から見た越年ジョロウグモの雌
尾端近くの赤い部分が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 「巣」とカッコ付きにしているのは、写真でお分かりの様に、巣はもう殆ど壊れていて、1本の糸しか残っていなかったからです。
 しかし、蜘蛛はチャンと生きており、僅かながらも動いていました。
 眼は標準の8個です。後側眼は前側眼に隣接しており、角度によっては少し見難くなります。下2枚の写真は、少し確度を換えて撮ったのですが、右の後側眼はよく識別出来ません。
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ジョロウグモの頭部.前側眼の直ぐ後に後側眼がある
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 ジョロウグモは、文一総合出版の「日本のクモ」ではジョロウグモ科(Nephilidae)所属になっています。一方、Wikipediaではアシナガグモ科(Tetragnathidae)とされています。この辺りは、最近東海大学出版から出た「日本産クモ類」を見れば分かると思うのですが、高い本なので、未だに買っていません。また、かなり専門性の高い本のせいか、近くの図書館にも所蔵されていません。
 蜘蛛の研究者である谷川明男氏の「A Check List of Japanese Spiders ver. 2011R1」ではジョロウグモ科に属しているので、ジョロウグモ科の方が有力ですが、私は専門家ではないので、此処では判断しないことにします。
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少し確度を変えて撮影.右の後側眼はよく識別出来ない
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 このジョロウグモの写真は、先日のチャタテムシを撮る直前に撮影しました。しかし、チャタテムシの撮影を終わった時、ジョロウグモを振り返ってみると、もう其処にはジョロウグモの姿も巣の糸も見当たりませんでした。
 ジョロウグモが居たのはかなり急な斜面に生えているタラヨウの斜面の上側、チャタテムシを撮影したのは下側ですから、チャタテを撮っている時に巣に触れることは有り得ません。恐らく、糸が劣化して切れ、それと共にジョロウグモも下の藪の中に落ちてしまったのでしょう。
 撮影したのは1月6日、今日は28日ですから、もうこのジョロウグモは既に天国に召されているに違いありません。

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2012年1月 8日 (日)

ケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.)(その5)

 どうも最近は、体がすっかり熱帯向きになって来たのか、寒くなると外出するのが億劫になります。それでも先日、「四丁目緑地」のケヤキの樹が気になって、カメラを持って出掛けました。
 しかし、そのケヤキの樹皮下には、以前掲載した「ハイイロチビフサヤスデ(その2:集団越冬)」よりも、もっと高密度に集まったハイイロチビフサヤスデがいた程度で、目新しい被写体は何も見当たりませんでした(ヨツモンホソチャタテが1頭、樹皮下で越冬していました。これまで、樹皮下でホソチャタテ科の虫を見たことはありません)。
 そこで、1.2kmほど南にある「三丁目緑地」に行ってみました。緑地の北西部にある、泉の横に生えているタラヨウの葉裏には大概何かが居るのです。本当は、双翅目が目当てだったのですが、そこでこれまで見たことのないチャタテムシを見つけました。

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タラヨウの葉裏に居たケチャタテ科の1種
翅膜は淡黄褐色、翅脈は黄色い
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 翅脈(「YOSHIZAWA,Kazunori(2005):Morphology of Psocomorpha」に拠る)や体形からして、ケチャタテ科(Caeciliusidae)の1種なのは間違いないでしょう。翅端まで約4.0mm、前翅長約3.2mmですから、ケチャタテ科としては中程度の大きさです。
 上の写真の様な、目の黄色いケチャタテはこれまでにも何回か紹介しており、特に後小室(「ホソチャタテ」の3番目の写真を参照して下さい)が小さい点で「ケチャタテ科の1種(その2)」とよく似ています。
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横から見ると、全体的に結構毛深い
後小室は少し見難いが小さい
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 しかし、「その2」の方は、翅膜も翅脈も殆ど無色なのに対し、今日のチャタテムシは翅膜が薄い黄褐色で、翅脈は黄色をしています。特に縁紋の辺りの黄色が目立ちます(最後の写真)。
 黄色の目立つケチャタテ科としては、キイロケチャタテがよく知られています(但し、Web上にある「キイロケチャタテ」の多くは誤認です)。しかし、富田・芳賀(1991)の「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」を見ると、キイロケチャタテは後小室が大きく、縁紋は全体に黄色となっており、一致しません。
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小顎鬚(小腮鬚)は殆ど無色透明.先端も同様
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 そら氏のブログ「ご近所の小さな生き物たち」に掲載されている記事「キイロケチャタテでは無いそうです」に、psocodea氏(北海道大学吉澤教授のハンドルネーム)が次の様なコメントを書かれています。「キイロケチャタテに外観的に良く似た種はたくさんいるのですが,実は結構遠縁の仲間も含まれます.というか,キイロケチャタテは,ケチャタテ科から独立させた方が良いかとも考えています(現在論文が進行中).・・・」。どうやら、本当のキイロケチャタテは、少し普通のケチャタテとは違った虫の様です。
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斜めから見ると、縁紋付近の黄色が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 ケチャタテ科であることは問題ないとして富田・芳賀の検索表を辿ると、和名のないValenzuela flavidorsalis(この検索表は少し古いので属名はCaesilius)が一番近い様です。この種の特徴は、「後小室が小さく、小顎鬚は淡黄褐色で、端節はやや暗色.翅脈及び翅膜は黄褐色.前翅長約3.0mm」となっています。しかし、今日のチャタテムシでは、小顎鬚は殆ど無色でその端が暗色とは言えません(3番目の写真)。
 学術論文ではないので、Valenzuela flavidorsalis?とする手もありますが、吉澤教授の上記コメントから察せられる様に、ケチャタテ科はまだ未整理部分が多い様です。此処では単にケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.)として置くことにしました。

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2011年12月22日 (木)

タイワンキシタアツバ(Hypena trigonalis)?の幼虫

 先月の末に帰国しました。その後約1週間は雨模様の日が多く、写真を撮りに出かける様な状態ではありませんでしたが、今月4日の日曜日になって漸く良い天気になりました。買い物ついでに写真を撮って来たのですが、色々と雑用などがあって、此方のWeblogは、今日が帰国第1回目の更新になってしまいました。

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カラムシの葉裏を歩くタイワンキシタアツバ?の幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 「三丁目緑地」の一番下にある人工的な公園(道路の反対側はオーケー・ストア)の縁に、昔からイラクサ科の大きな雑草が沢山生えています。何時も芋虫でも居ないか見ているのですが、これまで何らかの食痕すら見たことがありませんでした。
 ところが、・・・今度は居ました。
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アツバ亜科の幼虫は一般に第3腹節の腹脚を欠く
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 体長は40mm程度、多分終齢幼虫でしょう。この写真の様な、黄色~緑の体色に黒い斑点と云う蛾の幼虫は色々な科に居ます。一々調べるのは面倒ですから、「イラクサ科 毛虫」でGoogleの画像検索をしてみると、一発でよく似た毛虫が出て来ました。クロキシタアツバ(Hypena amica)の幼虫でした。
 しかし、同属のタイワンキシタアツバ(Hypena trigonalis)も非常によく似た模様をしており、食草も同じです。保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」に拠れば、「両者の幼虫は識別することが出来ない」と書かれています(なお、同図鑑では、これらのアツバ類は何れもDichromia属となっています。昭和40年の出版ですから、その程度の変更は驚くに当たりません)。
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急いで移動する時は尺取虫状になる
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 また、何も形容の付かないキシタアツバ(H. claripennis)の幼虫もかなり似ています。食草もこれまた同じイラクサ科です。キシタアツバとクロキシタアツバ(タイワンキシタアツバ)の幼虫の違いは、同図鑑に拠れば、前者は地色が橙褐色で、体表には24倍の拡大で認め得る棘状突起を密布するのに対し、後者では地色が黄緑色を主とし、体表には150倍で識別出来る微突起を密布する、とのことです(頭部の刺毛配列の違い(角度)についても書いてありましたが、写真からの判断は一寸難しい様です)。
 写真の幼虫は地色は黄緑色を主としており、また、下2枚の写真の様に、かなり拡大しても、表面がザラザラしているのは分かっても、微突起は認められません。キシタアツバの可能性は無い様です。
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タイワンキシタアツバ?幼虫の横顔
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 タイワンキシタアツバの成虫は、以前掲載したことがあります。その後も成虫を何回か見ていますので、今日の幼虫は多分タイワンキシタアツバの幼虫だと思います。しかし、成虫の方もクロキシタアツバとよく似ていて、両者を混同した可能性もあります。其処で、表題には「?」マークを付けて置きました。
 実は、掲載が遅れた理由の一つに、もう一度行って幼虫を拉致し、飼育して羽化させ、種を決定しようと思ったことがあります。残念ながら、幾ら探しても、もう幼虫は見つかりませんでした。或いは、何処かで営繭してしまったのかも知れません。
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タイワンキシタアツバ?幼虫の顔写真
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 これらのキシタアツバ類が属すHypena属は、ヤガ科(Noctuidae)アツバ亜科(Hypeninae)に属します。一般にこの亜科では、腹脚は第3節が退化して3対しかありません。3対あるので普通の毛虫・芋虫の動きも出来る様ですが、大きく動く時は、3番目の写真の様に尺取虫型になります。
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オマケの1枚.尺取虫状の姿を撮ろうとしてタイミングを外した
(写真クリックで拡大表示)
(2011/12/04)

 私は、植物は科が分かれば普通は種まで調べたりはしないのですが、今回は調べる必要があるでしょう。植物では、多くの場合、科さえ分かれば検索は簡単です(どんな花が咲くのか、以前観察しています)。カラムシでした。葉には目立った毛がありませんからナンバンカラムシではなく、また、葉裏は白っぽいので、アオカラムシでもありません。

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2011年9月 5日 (月)

お知らせ+コマユバチ科の1種(Braconidae gen. sp.)

 最近は時間が無くてすっかりサボっていましたが、明日より、例年の如く東南アジア方面に2~3ヶ月出張致しますので、また、今後暫くは更新が出来ません。
 写真がないのも寂しいので、かなり以前に撮影したコマユバチ科の1種を載せることにしました。

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シャクチリソバの葉上に居たコマユバチの1種
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/10)

 撮影したのは、3年前(2008年)の11月10日の夕方で、「3丁目緑地」のシャクチリソバの葉上に居ました。もう少し暗くなっていて焦点合わせが難しく、深度が深くなる様かなり絞って撮影した為、写真の品質は良くありません。
 等倍撮影をしたと思うので、体長約5mm弱、翅長は約4mm弱となります。しかし、もう少し大きかった様にも思います。深度を深くする為に、少し引いて撮影したかも知れません。
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一寸面白い顔をしている.単眼が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/10)

 始めはヒメバチ科かと思ったのですが、翅脈が良く見えないので、科を判別出来ませんでした。ヒメバチ科の多くには2m-cuと云う横脈があるのですが、角度の関係で写真からはそれが良く見えません。
 しかし、縁紋に接する内側の室に、多くのヒメバチ科には無く、コマユバチ科には有る斜めの翅脈が認められますので、どうやらコマユバチ科の様です。
 かなり姿の美しいハチなので、属にまで落ちないか、ハチ類の掲示板「蜂が好き」に御伺いを立ててみました。しかし、残念ながらコマユバチ科(Braconidae)より下には落ちませんでした。
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非常に繊細な感じがする.美形と言える
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/10)

 それでは、行って参ります。皆様に於かれてはお風邪など召されぬ様、御自愛下さい。

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2011年5月28日 (土)

オオツマキヘリカメムシ(Hygia lativentris)(雄)

 一寸、仕事が一段落したので、今日はこちらのWeblogを更新することにしました。
しかし、最近は時間がない為、全く虫撮りに出かけていません。そこで、昨年の今頃に撮ったカメムシを紹介することにします。実は、昨年、一昨年のこの時期に撮影して未掲載の虫は、画像倉庫に沢山眠っているのです。

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ミズヒキの葉上に留まるオオツマキヘリカメムシ(雄)
ツマキヘリに似るが、雄の尾端に2突起を持つ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/05/17)

 始めはツマキヘリカメムシかと思っていたのですが、全農教のカメムシ図鑑の解説を読むと、オオツマキヘリカメムシ(Hygia lativentris)の様です。
 同図鑑に拠れば、オオツマキヘリの雄の尾端には、2個の瘤状突起があるのに対し、ツマキヘリ(H. opaca)はこれを欠くのだそうです。上の写真を見ると、一寸焦点が外れていますが、2個の突起が認められます。
 また、オオツマキヘリでは、体の毛が繊細でやや平伏するのに対し、ツマキヘリでは暗色の硬い短毛を持つと書いてあります。下の写真を見ると、体の毛は「暗色の硬い短毛」よりは「繊細でやや平伏する」に近いと思います。
 これらから、この写真の個体はオオツマキヘリカメムシの雄として問題無いでしょう。
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横から見たオオツマキヘリカメムシ
褐色の平伏した短毛が生えている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/05/17)

 残念ながら、写真は2枚しかありません。撮影したのは四丁目にある「神明の森みつ池特別保護区」の册に沿って生えているミズヒキの葉上でしたが、他にホオズキカメムシが2頭も一緒に居たのです。ホオズキカメムシはオオツマキヘリカメムシとは別属(Acathocoris)ですが、同じヘリカメムシ科(Coreidae)に属し、もっと毛深く太めながらオオツマキヘリに一寸似ています。撮影している時は、焦点合わせに殆ど全神経を集中しているので、撮影の対象が知らない間にオオツマキヘリからホオズキカメムシに移っていたのに気が付かなかったのです。お恥ずかしい話ですが、そんな理由で、写真は2枚しか無いのです。
 ホオズキカメムシは既に紹介済みです。間違えて撮影したホオズキカメムシの写真は即刻消去しました。

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2011年5月 6日 (金)

ヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫
(終齢=6齢)

 東日本大震災から2ヶ月が過ぎようとしています。私個人や住居には何らの被害もなかったのですが、その後、些かの問題が発生して、Weblogを書く時間が無くなってしまいました。昨日、今日と2日休んで、また、明日からこれまでやっていた作業の再開です。今日中に、このWeblogも更新しておかないと、次は何時になるか分かりません。
 今年は、1月と2月に一度ずつ虫撮りに出かけただけで、3月以降はサッパリです。そこで今回は、昨年の3月に撮ったチャタテムシの幼虫を紹介することにしました(写真も昨年の内に調整済みです)。このチャタテムシの幼虫は、これまでとは違い、種類と齢が判明しました。ホソチャタテ科(Stenopsocidae)に属すヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の6齢(終齢)幼虫です。

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「三丁目緑地」に居たヨツモンホソチャタテの終齢幼虫
有翅チャタテムシは6齢が終齢
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 体長は、2頭居ますので、約1.9mmと2.3mm、撮影したのは「三丁目緑地」の北西部にある泉の近くです。1本の木に、数種類のチャタテムシの成虫、幼虫が相当数潜んでいました(しかし、何故か今年は殆ど居ませんでした)。
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2頭で大きさが少し違うが、翅芽の先端は
何れも腹部の真ん中辺に達している
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 撮影した時は種類も齢も分かりませんでした。しかし、我が家のトベラの葉裏に居たチャタテムシの成長を卵から成虫まで観察した結果(本稿末尾を参照)、ヨツモンホソチャタテであることが分かり、今日のチャタテムシ幼虫がその終齢幼虫と同一の特徴を持つことが分かったのです。
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大きな方の個体.体長約2.3mmだが、頭幅(本文参照)は
約0.59mmともう一方より狭い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 少し前まではチャタテムシが一般に何回脱皮して成虫になるのかも良く分かりませんでした。庭のチャタテムシを見てヨツモンホソチャタテは6齢が終齢であることが分かりましたが、これがチャタテムシ一般に通用すると云う確証はありません。
 この問題は、その頃に英国の古本屋から取寄せた「Handbooks for the Identification of British Insects」の一冊である「Psocoptera(噛虫目=チャタテムシ目)」を見て解決しました。長翅の種類では多くの場合6齢で、無翅や短翅の種類では齢数がもっと少なくなるとのことです。
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小さい方の個体.脱皮後あまり時間が経っていないらしく
額の色は上の個体より薄いし、腹部は少し縮んで見える
体長は約1.9mmだが、頭幅(本文参照)は
約0.62mmで上の個体より広い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 チャタテムシ幼虫の齢の違いを知るには、翅の原基(翅芽)の発達程度を見るのがよい様です。尤も、前掲書に拠れば、翅芽は3齢から認められるそうですので、翅芽では初齢と2齢の区別は出来ません。
 一般的に、翅芽の先端が腹部の中央付近に達していれば、終齢と判断して良い様です。但し、腹部は脱皮後の成長に伴って長くなりますから、あくまでおおよその判断です。
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正面から見た2番目の個体.何時見てもチャタテムシの顔は面白い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 腹部は伸長しても、頭の外骨格は固く結合しているので、頭幅は脱皮しない限り(殆ど?)変化しません。芋虫・毛虫等の齢も、頭幅で推定することが出来ます。
 昆虫学に於ける「頭幅」の一般的な定義は良く分かりませんが、チャタテムシの場合、写真で測定するのに便利なのは、左右の複眼の外側の端から端までです。此処では、それを「頭幅」と呼ぶことにします。
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斜めから見た最初の大きな個体
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 今日の写真の2頭の頭幅を測定してみると、大きな個体(体長2.3mm)の方が小さくて約0.59mm、小さい方(体長1.9mm)では約0.62mmです。昨年、我が家で測定した終齢幼虫の頭幅は約0.60mmでしたから、0.60mm前後が終齢(6齢)幼虫の頭幅と言えるでしょう。
_l02_100322_143
同様に撮影した2番目の個体
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 ヨツモンチャタテの卵から成虫までの成長記録は、もう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」に以下の様に掲載されています。御笑覧下さい。

   内   容      掲 載 日     撮 影 日
  卵と初齢幼虫    2010/03/13   2010/02/25,03/12
   2齢幼虫     2010/03/23   2010/03/22
  3、4齢幼虫    2010/04/19   2010/04/10
   5齢幼虫     2010/04/25   2010/04/18,20
   6齢幼虫     2010/04/29   2010/04/20
    成 虫      2010/05/11   2010/04/20,24

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